篆書A細字とB細字の違いについてご説明申し上げます。
篆書Aは直線的、Bは曲線的という以外にも大きな違いがございます。
印影を一点の【絵画】と考えると、上のように
■文字群=作品
■余白部=台紙
■円枠部=額縁
に、それぞれ置き換えることができます。
篆書Aは繊細な線で構成される文字群が中央に集約的に配置されることで、対照的な太い円枠との間に明確な対比が生まれます。
そして篆書A細字の場合、とても重要なのが【余白】の存在です。
文字群と円枠の間に十分な余白があることにより、文字群の繊細さがより【立体的】に、凛として浮かび上がってきます。
それはあたかも淡い水墨で描かれながら、鮮やかな存在感が際立つ山水画のようでもあります。
それに対して篆書Bは、文字線が印面いっぱいに広がることによって、余白が失われます。
その結果、文字群は伸びやかに表現されています。
先ほどの絵画に例えてご説明すると、作品が額縁から外に飛び出そうとするダイナミックさには富んでおりますが、一方でどこか間延びした、平板な印象を受けることもまた事実です。
印鑑は、文字群・余白・円枠の3要素がバランスよく配置されることで、結果的に文字の繊細な美しさが際立つと、秀碩は常々考えておりました。
また、インターネット上に流布されている印鑑書体に関する情報の中には
■直線的印鑑=簡易・機械的
■曲線的印鑑=高度・手作り風
と、一方的に断ずるものも少なからず見受けられますが、 それはいささか短絡的であり、適切さを欠いていると拝察いたします。
以上のことから、秀碩の工房と致しましては【篆書A細字】を最もお薦め申し上げる次第です。