特に実印・銀行印は、役所や銀行に登録した印影を
長期にわたって保持しうる素材を選ぶことが必要です。
破損・磨耗などで印影が登録時のものと変わってしまうと
かんじんなときに役割が果たせなくなる恐れがあります。
印鑑に用いられる自然素材

■ 柘(ツゲ)
将棋の駒や櫛などに用いられてきた硬質の木材です。
当店では鹿児島県内で植林されている薩摩ツゲのみを
中でも色調の美しいものを厳選して使用しております。
(東南アジア産のアカネは一切使用しておりません)
柘は適度な硬さと粘り気があり、朱肉もよく乗ります。
また、薩摩柘は近年、二酸化炭素を排出しない
「環境に優しいエコロジー素材」と注目されています。

■ 黒水牛(クロスイギュウ)
アジア地域に生息する水牛の角を加工したものです。
柘よりは格段に硬質で適度な粘り気もあり、
印鑑彫刻に非常に適した素材といえましょう。
当店では角の中心部であり、最も堅牢な部分の
「芯持ち材」のみを使用しております。
芯のない「割材」や、合成品の「圧縮材」などは
一切使用しておりません。

■ 白牛角(シロウシツノ)
「オランダ水牛」の名で知られる印鑑を素材ですが、
実はオランダ産でも、水牛の角でもありません。
世界中の陸地部に広く生息する牛(=陸牛)の角で、
主に南アフリカやオーストラリア産が用いられます。
当店はマーブル状の斑入り模様の印材は採用せず、
美しい色調のものを厳選して使用していますが、
個体差により微妙な色調が個体ごとに異なります。

■ 象 牙(ゾウゲ)
水牛・牛角類と同等の硬さと粘り気を併せ持ち、
抜群の朱肉吸着性も有する、印鑑に最適の素材です。
当店は国内正規在庫品のみを厳選して使用しており、
環境省・経済産業省発行の認定シールお付けします。
また特に上級グレード品に関しては、メーカーから
優先的に最良材の提供を受けております。
この象牙に関してはこちらも併せてご覧ください。

■ マンモス
永久凍土に1万年以上眠っていたマンモス牙です。
その品質は個体差と凍結状態により千差万別です。
当店はメーカーから優先提供を受けた良材を更に厳選、
象牙と同等品質のものだけを使用しており、
硬度・粘度・朱肉吸着性・外観とも象牙と変わりません。
特に最上級グレード品は入手が極めて困難であり、
すでに「幻の印鑑材料」となりつつあります。
印鑑素材の品質比較

■ 堅牢性
落下・衝突の際の外枠部分の欠けにくさを表します。
象牙と牛角類はほぼ同等の硬度を持っています。
柘も木材の中では硬質の部類に属しますが、
象牙・牛角類と比較すると、堅牢性の点で劣ります。
象牙・牛角類も外枠欠損リスクがゼロではあません。
一層のリスク軽減に、外枠の太い書体をお薦めします。
加えてケースからの出し入れに注意が必要です。

■ 耐耗性
捺印を重ねることによる磨耗のしにくさを表します。
こちらも素材の硬度が強く関係していて、
象牙・水牛類は長年の捺印でも磨耗しにくく、
柘はそれらに比べるとやや磨り減りやすいといえます。
しかし、日常生活における捺印機会が減っている今日、
耐耗性はさほど気にする必要はないかもしれません。
それでも、よくお使いになる印鑑にはご留意ください。

■ 捺印性
彫刻面の朱油(朱肉のインク)吸着度を表します。
平たくいえば、朱肉の乗りの良さということです。
象牙・マンモスの朱肉吸着性は素晴らしく、
役所・銀行の枯渇した朱肉でも鮮明な捺印を得られ、
印影不鮮明による無用のトラブルを回避できます。
柘も象牙ほどではないものの朱肉吸着度は良好です。
一方、牛角類はやや朱油をはじく傾向にあります。
他の印鑑素材が若干ながら一長一短がある中で、
象牙・マンモスは、印鑑に求められる要素をすべてクリアしており、
権利と財産を護る大事な印鑑に最適な素材と申せましょう。
次はその象牙についてさらに詳しくご説明いたします。
◆象牙について詳しく見てみる
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